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Peter Lindbergh

ファッションではなく、”人間”を撮る

ピーター・リンドバーグ(1944–2019)は、ファッション写真にナラティブをもたらした最初の写真家として知られる。ドイツ・デュイスブルクで育ち、1978年にパリへ移ったリンドバーグは、Vogue、Harper’s Bazaar、Vanity Fairをはじめとする世界の主要媒体で活動を続けた。Chanel、Dior、Armani、Prada——名だたるブランドが彼のレンズを選んだのは、その写真が衣服ではなく、人間そのものを語ったからだ。

一枚が、時代を変えた

1990年、リンドバーグはリンダ・エヴァンジェリスタ、ナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォード、クリスティ・ターリントン、タチアナ・パティッツを一枚のフレームに収め、British Vogueの表紙を撮影した。この一枚がスーパーモデル時代の幕を開けた。Pirelli Calendarを1996年、2002年、2017年と3度にわたって撮影したことも、彼の稀有な地位を物語る。

完璧さへの、静かな抵抗

リンドバーグが生涯にわたって抵抗し続けたのは、「若さと完璧さの専制」だった。過剰なレタッチが常態化する業界の中で、一貫してノーメイクに近い素顔、自然な光、加工を排した写真を選んだ。「ファッションと作為を取り除けば、そこに本当の人間が現れる」——これが彼の信条だった。

写真家が、写真家を見つめた一枚

2019年9月3日、パリで74歳の生涯を閉じた。サン=シュルピス教会での葬儀には、カーラ・ブルーニ、アナ・ウィンター、ケイト・モス、ナオミ・キャンベルが集まった。
ジェラール・ハーテンのレンズが捉えたリンドバーグの肖像は、写真家が写真家を見つめた、これは、その静かな対話の記録である。

photo by Gérard Harten

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